Plover Cycles Blog

ロードとMTBとシクロクロスと。

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俺が欲しいマウンテンバイク2019

機械って名前のブログがありまして。毎年「俺が欲しいクロスバイク○○○○年」てのをやってて非常に読み応えがあった。はてブでバズったのでご存知の方も多いはず。

自転車を紹介するブログてのは、ショップスタッフの書いたものやアフィリエイト目的のなんかが多くて、どうしても「売りたい」を感じることが多いのだけど、機械は「欲しい」が真っ先に来ていて、書き手の物語を感じるんだよね。

というわけで俺が欲しいマウンテンバイク2019です。20万円以下、ハードテール(サスペンションは前のみ)に限定しました。

欲しいバイクの条件①Low,Long,Slack
(フレームが)低くて、(ホイールベースが)長くて、(ヘッドアングルが)寝てる。流行りのデザイン。登ることより下ること重視。下りのハイスピードでバイクがきちんとコントロール出来るかが主眼になっているため、低重心で前後に長くとても安定感が強い。ハンドル幅は広く、身体に近く設定されていて、バイクの上でアクションを起こしやすい。登りは長く辛く禁欲的なのに対して、下りはあっという間で楽しくて刹那的です。その刹那のためのデザイン。「勝てるバイク」じゃなくて「楽しいバイク」と言えるかもしれない。Red Bullのビデオでよくある、何かよく分からないけどめっちゃ飛んでてすごい自転車、はこれの類。持ってると飛ぶことが出来る。出来るけどだいたい怪我するのでしない。でもかっこ良い。

②ヘッドアングルは67度
条件その2。①のSlackに相当するところ。ここの数字を具体的に言うと67度。ヘッドアングルてのは、サスペンションフォークと地面が作る角度のこと(正確にはちょっと違うがそういう理解でだいたい合ってる)。90度に近いと垂直に近い。立ってるとも言う。0度に近いと水平に近い。寝てるとも言う。立ってるとクイックなハンドリング、寝てると直進安定性、なんて言われる。寝すぎてるとかったるいし立ちすぎてると落ち着きがない。楽しく走る塩梅がヘッドアングル67度てわけ。自分が走るシングルトラックではヘッドアングルはそんなに寝てなくても良いと思う。でも寝てるのが良い、かっこ良い。

③グラフィックは抑え目
競技としてのマウンテンバイクはレースもあるし、海外ではTV中継があったりする。だからそういうマウンテンバイクは絵面を重視して派手。機材スポーツはそういう傾向あるよね。バッシュとかスキー板とか、パッと見でどこのメーカーか分かるようになってる。スポンサーさまさまです。でも自分で使うなら落ち着いたデザインが良い。別にカメラ映り気にすることないし。マウンテンバイク乗る時は普段着っぽいウエアが多いし、その辺の調和も大事。

④ドロッパーシートポスト
後から替えられる箇所だけど、あると嬉しい装備。ドロッパーシートポストてのはサドルの高さを変えられる装置。構造はオフィスチェアと同じでレバー押して体重掛けると「シュコッ!」てサドル下がる。ケツ上げてレバー押すと「カコッ!」て上がる。山走っている時、いちいち立ち止まってサドルの高さを変えなくて良い。別に変えなくても良いんだけど、変えた方が楽しく安全に走れる。特に下りはサドル低いと楽しい。無くても不便を感じないけど、一度体験するともはや手放せない、そんなやつ。買うと最低2万円くらいするので、最初から付いてるに越したことはない装備。

てなわけで以下欲しいバイク
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SCHEIDEGG MT-A2000 16.5万円
http://www.scheidegg.jp/menu173/contents661
シャイデックと読むらしいけど読めないしすぐ読み方忘れる。日本が誇るアウトドアメーカーmont-bellの自転車ブランドがこのシャイデック。絶対名前で損してるよねぇ素直にmont-bellブランドで良いと思う(小声)。ロードバイクとマウンテンバイク、ツーリングバイクの4型もラインナップしてる。すごいぞmont-bell。自転車を置いてるmont-bellストアが少ないってのもあって、興味あんまりなかった。自転車誌もめったに取り上げないしね。みなとみらいのmont-bellストアは1フロアまるまる自転車で、ここで現物を見た。
さすが日本人が日本のフィールドを走るために作ったマウンテンバイクである。隙が無い。小柄な人でも乗りやすい27.5インチホイール、車格はややコンパクト、ヘッドは67度と寝気味。パーツは手に入りやすいSHIMANOで統一してるのも好印象。ただ、ドロッパーシートポストが付いてないので出来れば付けて欲しい。グラフィックも地味な、青みがかった黒。でもちょっと地味すぎるかな…。年間何台売れるのか心配になるが、儲けとは別でこういうのを作って売るmont-bellの愛と誇りを感じる。これ買ったら全身mont-bellで山の上でコーヒー淹れて飲むしかない。コンビ二で弁当あっためてるときに後ろの人に「外に置いてる自転車俺のなんすよw」て自慢したい。自国メーカーの欲しい自転車があるって素晴らしいと思う。出来ればずーーーっと自転車作ってて欲しい。いつか買います。

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Vitus SENTIER 29 だいたい15万円
http://vitusbikes.com/products/vitus-sentier-29-hardtail-mountain-bike/

仏語読みビチュー、英語読みヴァイタス。ここのメーカー、簡単に言うとファストファッションメーカーである。コアなメーカーが頑張って新しいデザインや規格を考える。でも小規模なメーカーだとそういうのはえてして高くつく。小ロット生産で気づくと売り切れてたり。なかなか皆買えない。そんなこんなしてるうちにいつの間にかここが半額くらいで発売しちゃう。GIANTみたいな超大手だと小回りが利かなくて乗り遅れる、小規模メーカーだと入手性が悪い。その間を埋めるニッチメーカー。経営母体は自転車流通大手のウィグル&CRC連合。なのでネットでしか買えない。
んでバイク。デザインはLow,Long,Slackである。上のmont-bellと比べるとちょっと前後(写真でいう左右)に長いかな、と感じられると思う。ヘッドアングルはもちろん67度。色味も地味だが近くで見ると細かなラメで地味過ぎない。ブースト規格という新しい規格を採用し、ついでにプラス規格という流行りもばっちり採り入れてる。ドロッパーシートポストは無いので付けて売るべき。昨年はMBRてサイトの「Hardtail of the year」1500ユーロ以下部門でNO.1を獲った。今これの2018年モデル乗ってるんだが、フレーム購入で送料込3万円だった、なんだこれ安すぎる。でも物は良い。マウンテンバイクは壊れるリスクがあるので安くて良いものは正義。

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GIANT Fathom1 18万円
https://www.giant.co.jp/giant19/bike_datail.php?p_id=00000062

世界最大の自転車メーカーGIANT。コストパフォーマンスで他社の追随を絶対に許さない。人とカブるのが許容できるならここしかないでしょ。
んでこいつは最高にコスパ良いバイク。軽い車体に扱いやすい27.5インチホイール、ヘッド67度。ドロッパーシートポスト標準装備。購入後カスタムする必要なし、買ってそのまま山に行けちゃうスペック。GIANTの自転車は他のメーカーより軽量なことが多い。カタログスペック比較だが、上のmont-bellより2キロ近く軽い。なんだよそれ軽すぎ。秘密は主にホイール。ここを自社製造出来るメーカーは、他社の同価格帯商品にワンランク上、つまり軽いホイールを付けられる。超大手メーカーしかこれが出来ない。横綱相撲。GIANTの他にスペシャライズド、キャノンデール、トレック、メリダなんかはこれが出来て、つまりこれらのメーカーの自転車はコスパが総じて良い。ホイールは買い替えると高くつくからね。
今年のモデルのグラフィックは結構攻めてると思う。シルバーでかなり派手。ここだけちょい躊躇してしまう。でもやっぱ安定のGIANT。欲しい。

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Santa cruz Cameleon フレーム9.8万円
https://www.santacruzbicycles.com/ja-JP/chameleon

老舗でなおかつ現役の小規模マウンテンバイク屋さんである。老舗がモダンデザインのバイクをリリースすることはそれだけですごい。どうしても懐古趣味のものが多くなってしまう。ユーザーが高齢化しやすく、モデルチェンジが遅れて流行と乖離していくわけ。○ーリングストーンズのライブがおじいさんしかいないのと同じだ。モデルチェンジで既存ユーザーがそっぽ向いたあげく新規ユーザーは買ってくれないとかなったらメーカー傾く。中小で資金繰りが苦しければ新設備の導入は諦めるしかない。直近の技術革新は素材がアルミからカーボンに変化したことだ。いままで金属を切ってバチバチと溶接していたのから、樹脂を固めてオーブンで焼くようになった、こいつは激変だ。乗り遅れた老舗が多いなかサンタクルーズは対応した。つまりすごいメーカーである。
このカメレオン、まず名前が良い。「ライダーのあなたに合わせて変わっていきますよ」て意味だ。パーツ次第でレーシーにもツーリングっぽくも出来る。そしてちゃんと最新の規格とジオメトリーを採り入れてる。ヘッドアングルはお約束の67度。…実はジオメトリーはvitusとかなり似通ってる。シートチューブの曲げや補強のガゼット、ドロッパーシートポスト用のケーブルの取り回しとかそっくりだ。しかし価格は三倍…。つまりパクられる側のメーカーである。グラフィックも地味なのにカッコイイ。これはフレーム売りでパーツを自分で選べたりできる。頑張れば20万円以下に収まるはず。カタログ片手にパーツ考えるだけでご飯3杯いけますマジ。実は買う直前までいっていて、vitusに気づかなかったら買っていたと思う。

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NINER SIR フレーム18万円
http://ninerbikes.com/Niner-Builds?model=sir_9

ナイナーは29インチ径ホイールを専門にしているメーカー。カーボンフレームで有名。
これはスチール(鉄)フレーム。名前が最高にカッコ良い。STEEL IS REAL、略してSIRである。厨二病的カッコ良さ。デザイナーのドヤ顔が見える。でもカッコ良いから許す。今まで載せてきた自転車はアルミ製なのだがこれは鉄製で、見た目かなり細身に仕上がる。細身のフレームに太いブロックタイヤとなってコントラストがはっきりし、カーボンなど最近の太たくましい自転車を見慣れていると、はっとする美しさを感じる。うすはりのグラスで飲むビールのような、カジュアルさと繊細さのバランスというか。鉄製の自転車はすごく古くからあるので、どうしてもレトロ感を押し出すものが多いのだが、これはかなり現代風。鉄製の自転車は乗り心地が柔らかいとかよく言われるが、たぶん自分の乗り方では分からない。なので完全見た目の問題。フレーム18万円なので、20万円で完成させることは無理だが、「もうお前は二度と自転車を買い替えてはいけない」とか言われたら選んでしまうかもしれない。道具というより相棒、と呼びたい。

というわけで都合5台、欲しいマウンテンバイクを選んでみた。

ここから余談だが、もし興味を持って購入を検討されたとしても、ネットで買うのはおすすめできないです。昨今、マウンテンバイクをとりまく環境ってすごく悪い。走る場所に関する情報が秘匿されててクチコミでしか伝わらない。ネットで買うとその辺の情報の入手は不可能に近い。お店のスタッフは良く知ってて、そしてお店で買った人にはちゃんと教えてくれる。お店のツーリングやツアーが開催されてて、参加すると秘密のフィールドへ案内してくれる、囲い込みですね。機材やフィールドだけじゃなくて登山客への配慮やらヤマビル対策やらクマ対策やらウエアやらプロテクションやらノウハウは色々あって、なかなかネットに出ない情報を入手するためにもショップで買うメリットがある。デメリットはどうしても高くつくことかな。あと人によってはそういう小さなコミュニティは鬱陶しいかもしれない。自分は歴が長いし自転車仲間もいるのでしがらみが無くて安くあがるネットで購入しましたが、やはり初めの一台は近所のショップでの購入でした。そこで歳の近いライダーや、近場のフィールドを紹介して貰ったのです。
他に、自転車チームに参加する、スクールに参加する、地域のトレイル保全活動に参加する、なんて手段もある。けど、とっかかりとしてはハードル高いと思う。ほんとはもっとビジネスとは無関係にマウンテンバイクの普及に取り組む活動があっても良いと思うけど、マーケットが小さいし難しいのかもね。

参考 機械
https://machine.hatenablog.jp/entry/crossbikes2017
https://machine.hatenablog.jp/entry/crossbikes2016
https://machine.hatenablog.jp/entry/crossbikes2015
http://machine.livedoor.biz/archives/52363938.html

【追記】
俺が欲しいマウンテンバイク 2020behind-the-bar.hateblo.jp